アニメーションにおいて、作品に一番大きな影響を及ぼすのが監督である。なにせ、人が描いたものを意識的に動かさなければアニメーションにはならない。そのためその意識をどこに持ってくるか、もしくはどういう意識で動かすかで、その作品は大きく変わってくるのである。つまり、
『この人が監督が監督した作品スゲー』=『この監督スゲー』の図式が成り立つのである。
要は見るアニメを選ぶ基準として、監督という項目が大きな意味を持つということ。今回はそんなアニメ監督の中でも、「この人の作品は見ておけ!」というおすすめの監督とその作品をご紹介します。
押井守
独特の哲学と思想があり、硬派な作品が多い。戦争とは?平和とは?といったように、映画を見ていながら考えさせられる。また、聖書や神話などからの引用も多く、膨大な知識を持っていると思われる。キャラクターや舞台背景の設定において、細かい部分まで設定されており、それが物語にリアリティーと深みを与えている。
以下はおすすめ作品。
1、パトレイバー2 The Movie
横浜ベイブリッジが何者かにミサイル攻撃されるとう事件が発生。これを機に自衛隊と警察との対立が深刻化。事態を重く見た政府は実践部隊に治安出動を要請するが・・・。東京を舞台に『戦争』を再現するテロリストと、テロを止めようとする第2小隊の戦いを描いた作品。
世界にはまだ戦争・紛争をしている地域がある中で、どこまでが戦地でどこからが戦地ではないのか?平和という虚構の中にある日本も、戦争が行われている地球のとある地域の後方でしかないのではないか?といった問いかけをされているようです。
9.11が現実に起こる現代において、真に安全な場所などもはやどこにもないのかもしれない・・・
2、GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
映画マトリックスに影響を与えるなど、日本のアニメーションとして海外でも高く評価されている作品。当時として美しいアニメーションと近未来感じさせる世界感。ストーリーはやや難解であるものの、アクション要素やSF設定、公安9課という組織など魅力的な要素が盛り込まれ、今なおファンが多いことにも納得。攻殻機動隊として映像化されたものは本作が最初であるが、のちに『イノセンス』や神山監督の『攻殻機動隊SAC』など多くのシリーズ展開がされている。
3、うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
学園祭の前日が繰り返される。
庵野秀明
1、新世紀エヴァンゲリオン
神話や宗教、心理学をベースにしながら、ロボットアニメーションと融合させた唯一無二の作品。使徒、死海文書、ゼーレ、アダム、エヴァ、などなど作中に説明されるわけでは無い言葉のオンパレード。一度見ただけで意味が分からないので、何度も見返すことになる。いや、何度見ても飽きることが無いそのクオリティーはもはや驚愕。
2、ふしぎの海のナディア
エヴァンゲリオンの1つ前に制作した作品。ブルーウォーターという神秘の秘宝をキーアイテムに、快活な美少女ナディアと発明好きの少年ジャンの冒険を描く。2人はやがて大きな争いに巻き込まれていく。世界征服を狙うガーゴイルという男が率いる秘密組織ネオアトランティスと、それを阻止しようとするネモ船長率いる原子力潜水艦ノーティラス号の争いだ。
冒険活劇&空想科学が好きな人はぜひ!
3、トップをねらえ!
宇宙×SFロボット×スポコンという、SFにまさかの『スポコン』要素を掛け合わせた傑作。
番外1、シン・ゴジラ
特撮好きでも知られる庵野秀明が監督した新時代のゴジラ。リアリティとエンターテインメント性が見事に融合した特撮映画の傑作。
大友克洋
漫画家、アニメーション監督、映画監督などマルチな顔を持つ。
1、AKIRA
ジャパニメーションの先駆け的作品。圧倒的な映像美と演出、音楽など今見てもハイクオリティー。近未来SFアニメーションの傑作。
金田率いる不良チームの一員であった鉄雄は、高速道路で年寄りのような少年をバイクで轢きかけ、その後軍隊に連行される。そこで鉄雄は自身に眠っていた力に目覚めると共に、やがて制御できなくなってくる。
2、メモリーズ
3、スチームボーイ
番外1、AKIRA(漫画)
映画の原作となる漫画。映画が約2時間であるのに対し、漫画は大判で6冊。ストーリーやキャラクターの深堀りなど映画では描き切れない部分が、より具体的に描かれている。いやむしろ漫画で描けていた部分を、映画にするにあたりどうしても削らざるをえなかったといったところでしょうか。
そもそも漫画として非常にクオリティーが高く、設定、ストーリー、キャラクターはもちろん、とにかく絵が細かく、そしてリアル。これでもかというほどリアリティーにこだわった背景がなど、見ていて鳥肌ものです。(『部屋に貼っていあるポスターが部分的にテープで張っている』というよくある日常の風景が背景がとして描かれていたりします。正直狂気の沙汰です。)
宮崎駿
日本アニメ界の重鎮。
1、On Your Mark
チャゲ&飛鳥『On Your Mark』のミュージックビデオ用アニメーションとして制作。二人の兵士がとらわれの天使を助けるとうい話だが、SF的世界観とファンタジー要素が絶妙に融合しており、そのバランスが最高。世界観としては天空の城ラピュタに近いところにあるという印象だが、荒廃した世界は世紀末的であり、より印象的となっている。
2、天空の城ラピュタ
いつ見ても面白い冒険活劇。インドの叙事詩『ラーマーヤナ』や旧約聖書、スイフトのガリバー旅行記などをベースに、ボーイミーツガールなエンターテインメントに仕上げた作品。宮崎監督特有の、てんこ盛りやギリギリを攻める演出(ギリギリ落ちそう、ギリギリまで載せる、などなど)は健在で何度見てもハラハラさせられる。
アニメと侮るなかれ。いまだに見たことのない人は絶対に見ていただきたい。見ないと人生損するレベルです。
3、紅の豚
「飛べない豚はただの豚だ」
4、ルパン三世 カリオストロの城
国民的大泥棒ルパン三世。本作は原作の持つハードボイル感は薄めて、ヒーロー的泥棒として描かれているのが特徴。
番外1:風の谷のナウシカ(漫画)
原恵一
1、クレヨンしんちゃん モーレツ大人帝国の逆襲
2、クレヨンしんちゃん アッパレ戦国大合戦
細田守
1、ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島
2、劇場版 デジモンアドベンチャー
3、時をかける少女
4、サマーウォーズ